翌日もクリフ様は現れてカードを落とすと、去っていった。

そのまた次の日も。

そして、さらに次の日も。

カードは貯まっていった。
カードに書かれているのはいずれも愛の言葉だ。

『愛してる』の次は『わが命は楓のために』
その次は『愛することを許して欲しい』『私の永遠にして唯一』『君を失いたくない』



貯まったカードを手に曇った空を見上げていると、ヴィーが言った。

ーーー楓は加虐趣味でもあるのか。私が知らなかっただけか?
私を攻撃してくれるなよ、そういうのは好みではない。ーーー

「ちょっと!そんなのないわよっ。ーーー私だってどうしていいのかわからないの」

加虐趣味だなんてひどい言い方だ。
私がドSだとは認めたくない。
ただ私もクリフ様にひどい事をしているという自覚はあるのだ。

でも、どうしたらいい?
クリフ様は毎日こんな一方的なやり方で私に想いを伝えてくる。
こんな一方的に。ずるいわ。


「ヴィー、私を宮殿に連れて行って。あなたならどこにでも行けるのでしょう?」

ーーーおやおや、どんな風の吹き回しかな。宮殿に何しにいくのか聞いてもいいか?ーーー

「直接会って話したいの。何だかこれじゃ納得できないもの。こんなに一方的に気持ちをぶつけられてもこれじゃ結局前とたいして変わらない」

ーーーだが、鱗は外しているんだろう?ーーー

「そうだけど・・・」

私が言葉に詰まると、ヴィーは大げさにため息をついた。

ーーー行くぞ。まずは支度だな。ーーー

「ありがとう」私はホッとしつつこれからの展開を考え緊張し始めた。