ガタンーーーー。


キッチンで洗い物をしている私の真後ろにいる気配。

振り向いたら至近距離の蓮さんに、ドキドキの私。

ニヤニヤと笑う蓮さんは、顔がイキイキとしている。

「ーー蓮さん、近いです。
どいて、泡ついちゃう」

手は泡だらけだ。
動かせなくなってしまった両手。

泡を落とさなきゃ、と思ってもーー
近すぎる蓮さんは、それを許してはくれない。

近いーーーー。





「ーーここは洗うからいい。
早く支度して来いよ。
出ないと、キスするよ?」




ーーーー!!



早く、泡をーー。




チュ。







あ、キス。





洗う間をーーーー与えないキス。

両手から落ちた泡と雫は、床に数滴落ちた。



いつまでも、この幸せが消えないでと、願った。