だけどーーーー
そんな私達を見つめる、冷たい瞳が覗いていたなんて分からぬまま。

これからの不安な日々が、垣間見えていた気がする。




「じゃあ、帰るかっ」

「あ、教室にスマホ忘れちゃった。
行ってくるね」

教室は、目と鼻の先ーーーー。
すぐ側にいる煌が私には見える。


だからかなーーーー安心しきっていた。







「あ、あったスマホっ」


ピンク色の好きな私はーーーー、スマホを手にし立ち上がる。

ーーーーっ。


「せ、先ーーっ」
塞がれた口。
誰も居ない教室で、床に押し倒されて馬乗りになる男の人ーーーー。


須賀先生ーーーー。

怖くて声出せない。

「ーーーーゆあ、ダメじゃん。
隙ありすぎっ。
いつでも、ゆあのことどうにでも出来るんだよ?

言ったよね、彼氏が居ようが関係ない。
奪うって」

やだーーーーっ。


怖いーーーー。


掴まれた腕から、逃れたくて逃げようとすると更にきつく腕を掴まれた。

「いたっ。
やめて、先生っ。
なんで、こんな意地悪するの?」

煌の意地悪は、優しい。

だけど先生の意地悪は、怖いだけだ。