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沙月ちゃんは、優くんの腕の中。
これが普通なこと。
私1人じゃ沙月ちゃんを助けることは出来なかった。




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「ねえ、煌。
こっち崖だよ?
あんまり奥行くと危ないよ?」


来たくないのに、奥の洞窟までやって来てしまった。

知らない男子なら身の危険を感じるけど、相手は煌。

「やっぱり意識ゼロか」



深いため息の後、小さな声で呟いた声は私には届かない。

暗い洞窟の中ーーーー。


煌と2人きり。

お互い水着で、変に意識してしまう自分がいた恥ずかしい。

そうーー何故か、今日はやたら身体が火照る。


この気持ちは何かーーーー。


「ゆあ、俺はゆあが好きだよ。
女の子として。
もう幼なじみは嫌なんだよ!」


強く洞窟に響くほどの煌の声。


共鳴して、響くほど洞窟はきっと広くて長い。
それだけで寒気がした。

「私は幼なじみのままで、いたい。
ずっと私達幼なじみだったでしょ?
兄妹みたいな関係から、急にそんなこと言われても意識なんか出来ないよ!」



私の声も洞窟内に響き渡る。


暗い湿った洞窟が、怖くなって、外に出よう、と歩き出したーーーー!!



不意に腕を掴まれて、煌の胸の中にすっぽり、と治まる。



逞しい胸に抱かれて、少しだけドキドキし、動けない私。

煌が強く抱き締めて来たからだ。