「大丈夫?
沙月ちゃんどうしたの?」

振り向いたら優くんがいた。

優くんの姿にホッ、とする私。

そうだよ、沙月ちゃんには、優くんがいたんだ。

「日射病みたい。
救護テントに連れて行こうかなって」


なんて、嘘。
迷ってたじゃない。
沙月ちゃんより、大好きな彼が他の人に触れるのを嫌うそんな女の子に、なろうとしていた。


肩を叩いたのが優くんで、助かった。

「いや、救護テントには悪魔がいる」


悪魔ーー。


沙月ちゃんしか知らないこと。

その悪魔は、私の彼氏ですなんて、言えない代わりに苦笑いを浮かべた。

「とりあえず救護テントから、なんか借りてくるわ。
あの先生が処置とか、まずありえないし」


それについては同意見。