「ゆあ」



確かに呼んだ、煌の声。

点呼前。

真剣な瞳に囚われて動けなくて、まるで金縛りにあったみたいに、動けない。

「ゆあはいつか、気づいて帰ってくるから」



ーー?


「煌、今のどう言う意味?」


私はね。

煌の言葉がわからなかった。
煌が何を伝えたいのか。

煌が考えていたことも、

これからのことも、、

私は気付けなかった。


「今は知らなくていいよ。
行こうか」


差し出された手は少し大きい。
指先から伝わる少しながらのドキドキ。


恋とは違う。



私は戸惑っている。


煌がーーー


いつの間にか、"大人"になっていたことに。