「赤松は、ゆあが好きなんだよ」


ーーーー。




知ってるよ沙月ちゃん。



ちゃんと言われた煌の初めて見る"男の顔"に、私はドキドキした。


「知ってるよ。
煌に言われたからーー。」






煌とは、小さな時からずっと一緒だった。



当時、お互いが子供だった時は
私は、煌が大好きだった。




「ーー小さな時は、煌が1番だった。
私の初恋は煌だったかも知れない」



初恋かも分からない幼い私は、いつも助けてくれる近い存在の煌に、頼って自然と寄り添っていた。


だけど、大人になればなるほどーーーかっこよくなって行く煌に、少しずつ距離を置いた私。


離れたのはーー私。




「赤松の気持ちもあるからあれだけどさ。私はいつだってゆあの味方で、居たいよ」


メロンソーダが缶の中で、シュワシュワと音がしてるのが聞こえた。



「沙月ちゃん。
ありがとうっ。
煌の気持ちも、汲みたいんだ。
だから、着てみたんだけどーー」


そう。


水着は、煌が買ってくれた物だ。

私達が(仮)として、付き合った証に、
短い間の恋人記念に。

煌からプレゼントしてもらった水着を着た。



先生は気にしないって言ったけど。

本心は分からない。


「似合うよ、先生が気にしてないならいいんじゃないの?」


うん、多分先生は大人だから大丈夫。



「じゃあ、行きますか!」

沙月ちゃんが立ち上がり、進んだ先にゴミ箱。

運動神経のいい沙月ちゃんは、見事にゴミ箱に入れた。


私は手元にある、紅茶のペットボトルをビニールバックに仕舞った。