「あれれ?
どうしたの、赤松くん!
なんか、顔がニヤけるぞっ!」

肉に食らいついてる俺に、絡む先生。
不思議そうに見てるその瞳に、嫌に自信たっぷりに言った。




「俺、あんたにゆあ、渡さないからーー。
合宿、楽しみだなっ」





俺の言葉に、ニヤリ、と笑っている先生。
普通笑うか?


だけど、そんな先生は大きめのカルビを1口丸呑み状態で飲み込むと、さらにニヤリ、と笑った。







「上質なディナーは、1口じゃ足らない。

あーそっか。
デザートがあるの忘れてたわ!
ゆあ、来いよっ」




デザート?

デザートと称して、ゆあを引き寄せた先生はゆあの頬にチュ、と音付きのキスをお見舞した。




「わっ、先生な、なに?」


焦ったゆあは、グラスを落としそうになるのを未然に防いだ。



慌てるゆあを後目に、先生はニヤリ、と意地悪く笑った。




「赤松くん。
明日から合宿だけどーー大切なもんに手出し無用!!
何があろうとも、ゆあを守るのは俺だから」




ーーーーバチッ。





バーベキューに使われてる網がそろそろ限界に、黒くなりーーバチバチと言い始めた。



まるで、俺達みたいだとーー。





明日から合宿。


長い長い合宿が、明日から始まる。


何も無いわけが無い。

ゆあの頬にしたキスが頭から離れてはくれない。