「ーー1番に、蓮さんに可愛い言われたかった。なのに何も言ってくれないから、似合わないんだな、とか。
いろいろ考えて、泣かない、絶対泣かない変わりに、笑顔で居たかった」




可愛くしてもらった服で、泣いたりしたく無かった。


服にシミを作りたく無かった。
可愛い服を来たらーーお姫様になれるんだから。



可愛いメイクをしたらーーお姫様になれるんだから。


だから、泣いちゃダメって自分にいい聞かせて、レイさんに"ありがとう"を笑顔で伝えたかった。




「ごめんなさいっ」





可愛い服を来たらメイクをしたら、自分に自信がつくんだからって。


ぎゅっーーーー


それは唐突にやってきた。




暖かい温もりに、抱き締められた。



それは、知ってる温もりで。



涙が一瞬で止まった、




「ーー悪かったよ、言えなかった。

だってさあ、似合いすぎ、可愛すぎ、どうしたらよかった?

俺があの場で可愛いとか、言える奴に見える?」



う、見えないです。


何となくだけど、言えないかも。