器用にクレーンを操作して、アームを白いクマの真上まで動かす彼。


ボタンを押した瞬間、アームが下がって大きく開いて、再びクマの体を掴んで……。


今度は見事にそのまま釣り上げた。


わぁっ、上手に掴めた!


もしかして、さっきのは掴みやすくするためにわざと倒したのかな?


そのまま景品出口まで動くクレーンを、ドキドキしながら見守る。


どうか、落っこちませんように……。


すると、それは途中で一度も下に落ちることなく運ばれていき、無事に景品出口から出てきたので、私は思わず歓喜の声をあげた。


「すごいっ! 取れた!」


椿くんがしゃがんで手を伸ばし、景品取り出し口からぬいぐるみを取り出す。


そして、なぜかそれを私に手渡してくれた。


「ん。これ、やるよ」


「……えっ。いいの? もらって」


おそるおそるたずねると、椿くんは笑顔で頷く。


「うん。だって、そのために取ったし」


「ウソッ」


思いがけないことを言われて、ビックリすると同時に、ちょっと感激してしまった。


そんな、わざわざ私のために……?


私がさっき、これが可愛いって言ったから?