食べ終わって少し話をしたあとお店を出たら、外がだいぶ暗くなっていた。


二人で駅に向かい、同じ電車に乗る。


椿くんは、私より二つ手前の駅で降りるから、途中まで一緒だ。


彼女のフリをするってことだったけど、結局今日は椿くんのファンの女子達に遭遇することはなく、二人でご飯を食べただけで。


しかも、椿くんたら「今日は俺がおごるから」と言って、私の分まで出してくれたんだ。


本当なら、私がお詫びをしなきゃいけない立場なのに、よかったのかなと思ってしまう。


ガタンゴトンと揺れる電車の中、二人でドア付近に立って向かい合う。


すると、ふいに椿くんが私に尋ねてきた。


「心音は北桜田までだっけ?」


「うん、そうだよ」


私が頷くと、窓の外をチラッと確認してから、心配そうな顔で言う彼。


「外、暗くなってきたけど、駅から一人で大丈夫か? なんなら俺、家まで送るけど」


「……えっ!」