休み時間、あたしと彩乃とエレナは教室を出て廊下の隅に集まった。

「絶対に薫子だよね」

二人ともあたしと同じ質問を先生にされたらしい。

困惑したような表情を浮かべた彩乃と苛立つエレナ。

「あたし達、何も悪いことしてないよね?それなのに、仲間外れにされたとか先生にチクるなんて最低じゃない?」

エレナは相当苛立っていた。

でも、あたしもエレナと同じ気持ちだった。

薫子のことを仲間外れにした覚えはない。


でも昨日、あたしが薫子のメッセージに返信しなかったことも関係しているのかもしれない。

無視されたと感じ、それがキッカケになり先生に密告した可能性もある。

でも、だからといってそれを先生に伝えて問題を大きくするなんて。

「しかもさ、あたし先生に言ったの。調理実習の役割分担みたいなのを薫子が勝手に作ってきたのが嫌だったって。あたしと彩乃は準備と片付けだけしかやらせてもらえないことになってたのが不満だったって正直に答えたの。そしたら、先生なんて言ったと思う?」

「なんていったの?」

聞き返すとエレナはため息交じりに答えた。

「そういうものがあるっていう話は聞いてないって」

「え……。じゃあ単純にあたし達が一方的に薫子を仲間外れにしたみたいな話になってるってことだよね」

エレナの言葉に彩乃が眉間にしわを寄せる。

「しかも、休み時間もうちらに無視されて、昼休みに一緒にお弁当を食べることを拒否されたとか言ってたらしいよ」

「は……?なにそれ。自分が突然あたし達のグループに来なくなっただけなのに」

「でしょ~?少しの間、薫子が入ってこない期間あったじゃん?あれ、もしかしてわざとだった?」

「計画的にポツンになってたってこと?」

「わかんないけど、そうとしか思えなくない?」

「なんか……薫子ってズルい。自分に都合のいいことしか伝えてないなんて。それにさ、仲間外れって言うけど、そもそもあたし達と薫子って親しくないよね?それなのにこんな風に言われるのってなんか嫌」

彩乃の言葉は的を射ている。

確かにあたし達と薫子は今まで何の接点もなかった。

ただのクラスメイトというだけ。

調理実習の班に入らないかと誘っただけのことなのにどうしてこんなに大事になってしまっているんだろう。