トモダチ地獄～狂気の仲良しごっこ～

「……死ね」

「なによ。口だけ？」

「アンタなんて死んだ方がいい。自分の為だけに平気で人を傷付ける最低最悪のクズ野郎。都合のいい時だけ先輩ヅラして偉そうにして……。ホント、カス」

「だから？」

「学校に行けなくなったのも、バレーを続けられなくなったのも全部アンタのせい。アンタがいなければ私は今も楽しくバレーを続けていられたかもしれない」

真緒の手に力がこもる。

そう。それでいいの。真緒。早く押して。

心の中でほくそ笑む。

「でも」

真緒はそう言うと、スッとあたしのYシャツから手を離した。

「学校に行っていない間に、考えたんです。先輩がどうして私にそんなことをしたんだろうって……。それで分かったんです。先輩は私なんかよりもっと弱虫で可哀想な人間だって」

「……は？」

「先輩、試合の休憩の度にトイレで吐いてましたよね？知ってるんです。先輩が追い詰められてたこと」

真緒の言葉に返す言葉ない。

「だからといって先輩がしてきたことを許すことなんて到底できません。私はきっと永遠に先輩を許さないし、憎しみを抱えて生きていくと思います」

「真緒……」

「先輩、覚えてますか？ここの階段で先輩が私に言ったセリフ」

『弱虫。すぐに辛いことから逃げるんだから』

私が真緒に放った言葉がブーメランになって戻ってくる。

「私のこと、私服でフラフラしてって罵ってたけど、先輩はこんな真昼間に何してるんですか？バレーは？学校は？強気なこと言ってるけど、先輩の目、死んでますよ」

「っ……」

「私のことを煽って先輩のことわざと突き落とすように仕向けようとしてましたよね？私はそんなあなたの策略にはもう騙されません。私はあなたにはもう負けない。もう先輩でも後輩でもないんだから」

真緒の強い眼光に次の言葉が見つからない。