トモダチ地獄~狂気の仲良しごっこ~

「あのままバレー続けてたらそこそこの選手になれたかもしれないのにね。背だって高いのにもったいない。高校受験だってバレー推薦でどこだって行けたはず。惜しいね」

「……っ」

真緒があたしを睨み付ける。憎いという感情が真緒の目から伝わってくる。

「まっ、バレーをする環境には恵まれてたかもしれないけどメンタルの弱いアンタはどちらにしたってうまくいかなかったかもね。早いうちにやめてよかったんじゃない?あたしに感謝してよ」

あえて真緒が怒るような言葉を浴びせる。

怒れ。もっと怒れ。あたしの思い通りに動くの。

「でも、親が可哀想。小学校の時から支えてくれてたんでしょ?そんなアンタがバレーやめて今は引きこもりでしょ?あっ、今日は外に出てこられたから社会復帰への第一歩って感じ?でも、その恰好じゃねぇ……」

「やめて………!」

上から下まで舐めるように見つめてくすっと意地悪く笑うと、真緒があたしのYシャツの胸元を両手で掴んだ。

「だって本当のことだもん。親不孝者。一人娘がこんなんじゃ親も苦労するね」

「うるさい……!!」

「へぇ、そんなに大きな声が出るなんて知らなかった。中学時代もそうやってあたしに言い返せばよかったじゃない。そうすれば、今こんなことになってないかもよ?」

真緒があたしのYシャツを掴んだまま、体を押す。

あたしの背後には階段がある。

この階段を一歩踏み外せばあたしの体は階段に叩き付けられ、転がり落ちる。

きっとただでは済まないだろう。

腕の一本ぐらい折ってもおかしくはない。