トモダチ地獄~狂気の仲良しごっこ~

スマホの電源をオンにすることはためらわれた。

オンにすれば母から数秒おきに届く怒りのメッセージを嫌でも見ることになる。

学校を出てただ当てもなく歩き続ける。

あたしの歯車はいつ狂い始めてしまったんだろう。

そこそこ幸せな人生を歩んでいると思っていたけど、今振り返ってみると幸せではなかったように思う。

あたしには選択肢がなかった。

いつだって両親の指示に従い、行動していた。

高校から離れ、中学のある方向へ歩みを進める。

「ここ……懐かしいなぁ」

中学の近くの住宅街にある階段。

住宅と住宅の間にある急なこの階段を筋トレ代わりにダッシュした記憶が蘇る。

それと同時に部活帰り帰宅方面が一緒だった真緒に往復ダッシュを強制的に命じたことも。

『もう無理です……』と涙目になりながらあたしの足元に座り込んでえずく真緒を見下ろし、『弱虫。すぐに辛いことから逃げるんだから』と罵ったことを思い出した。