【エレナ:ひとでなし】

頬が引きつり、こみかみあたりが痙攣をおこす。

人でなし……?それ、あたしのこと?

昨日あたしが送ったメッセージの返信がそれ?

何よ。それ、あたしのセリフだから。

頭の中が混乱する。顔を持ち上げると、バレー部の部員は練習などできる状況ではないぐらいみんな動揺している。

中には今にも泣きだしそうな表情を浮かべている子もいる。

その男とエレナの関係やどうしてそんなことが起こったのか不安でたまらないんだろう。

自分の身にも何か恐ろしいことが起こるかもしれないと自分をエレナに重ね合わせているのかもしれない。

あたしだってエレナがパパ活をしていたことを知らなければ恐怖におののいてもおかしくはないだろう。

ぐっと奥歯を噛みしめて再びスマホに視線を落とす。

画面には確かに【ひとでなし】の文字が浮かべあがっている。

どうしてよ。何でエレナが言い返してくるのよ。アンタが悪いんじゃない。

アンタが――。

「ひぃっ!!」

そのとき、トントンっと背後から肩を叩かれてあたしは全身を震わせた。