高校に入学したと同時にあたしは出会い系アプリを始めた。

出会いが欲しかったわけでも彼氏が欲しかったわけでもない。

欲しかったのはお金と愛情をくれる人。

20代や30代ではダメだった。

あたしのことを優しく包み込んでくれる温かい存在。

そう、お父さんみたいな。

隣町の駅のそばの赤いポストの前に着き【着いたよ~!】とメッセージを送る。

「たけちゃん!」

ほどなくして現れたスーツ姿の男性に気付き、あたしはブンブンと手を振った。

「ごめんね。待たせたかい?」

「ううん、大丈夫。車はいつものパーキング?」

「あぁ」

「じゃあ、後ろからついていくね」

たけちゃんは60代の大手電子機器メーカーの会社役員だ。

もちろん、奥さんも子供もいる。

家庭を壊すことはしない、プライベートな詮索はしない、慎重に行動する。

それがたけちゃんと交わしたパパ活のルール。

あたしはたけちゃんから一定の距離を取って歩き出した。