「ねぇ、梨沙」

すると、薫子はそっとあたしに問いかけた。

「エレナと彩乃の何がよくて二人と親友になったの?」

「え……?」

「梨沙の親友は私一人で十分じゃない。梨沙だって本当はそう思ってるんでしょ?」

薫子の言葉にドクンッドクンッと心臓が不快な音を立てて鳴り始める。

「あぁ、痛かった。私、もう許さないから」

立ち上がった薫子。唇の端から血を滴らせてニヤリと笑う薫子の姿はおぞましく、自然と体が震える。


「あとで後悔しても遅いわよ」

その脅し文句に恐怖を覚えると同時に言いようもない不安が全身に込み上げてきた。

そして、その予感は的中する。

本当の恐怖の始まりはここからだった――。