「ムカつくのは分かるけど、暴力はマズいって!」

エレナの手を抑えた彩乃。

「離して!!」

エレナは彩乃の手を振り払うと、勢いよく立ち上がり自分の席へと向かいバッグを掴むと教室の扉の方へと駆け出した。

「エレナ!!」

あたしの声を無視してエレナは教室から飛び出していく。

すると、薫子はゆっくりと起き上がり薄気味の悪い笑顔を浮かべた。


「あらっ。暴力はマズい?どの口が言うの?」

「な、何が言いたいわけ……?」

「暴力って体を傷付けるだけだと思ってる?違うわよ。心を傷付ける行為も暴力よ」

「は……?」

「自分の胸に聞いてみたら?」

薫子の言葉に彩乃がなぜか顔を引きつらせる。