彩乃も……だったんだ。
心の中でそう呟く。
購買横の自販機は一万円札は使えない。
『今日小銭なくて万札しかないの。悪いんだけど、貸してくれる?絶対に返すから』
と頼まれてあたしも何回もエレナに自販機でジュースを買ってあげている。
もちろんそのお金はかえってきていない。
催促することもできずそのままになっていたけれど、合わせれば結構な額になっているだろう。
本当は催促したかった。でも、その気持ちをぐっと堪えた。
言いたいことをハッキリ言ってしまってはダメ。
一度気持ちを落ち着けて我慢してみることも必要だ。
そうしないと友情はたちまち崩れることになる。
あたしはそれを学んだ。揉め事を起こさないように必死に感情を押し殺した。
結局、あたし達は3人で夕食を食べることなく嫌な雰囲気のまま解散することになった。
「じゃあ、また明日ね」
「うん……」
気まずそうにしながら歩くエレナの背中を見つめる。
「エレナって最悪だね」
すると、あたしの隣にいた彩乃が吐き捨てるように言った。
「彩乃が怒る気持ちも分かるけど、もうやめよう。あたし、3人で仲良くしたいよ」
「仲良く……?エレナのあの態度みたでしょ?あれでも梨沙はまだ仲良くしたいって思うの?」
「え……?」
「薫子の分のお金最初はあたしに全額払うようにって言ってたでしょ?そのあと、梨沙が払うよっていったら今度は梨沙に払わせようとしてた」
「うん……」
「エレナは自分がよければそれでいいって考えなんだって。普通は相手のこと考えて割り勘にも応じると思わない?1200円を3人で割ったらたったの400円だし。でも、それどころか自分の分も払えないとか……。ホント信じられない」
彩乃は相当ご立腹のようだ。
エレナの悪口が滑るように彩乃の口から流れ出る。



