「おい、医局にこい」

青い顔をして、ふらふらと岡本さんの病室から姿をあらわした宮前先生を服部先生は呼び止めた。

宮前先生から岡本さんとのやりとりをきき、先生はニヤリと笑い私に指示をだした。

「高橋、今夜岡本さんを仮眠室に連れていけ」

あらかじめ中で待機していた宮前先生が岡本さんにプロポーズした。

仮眠室の神様はやっぱり偉大だ!

手を会わせて拝んでいると

「何やってんだお前。」

と隣であきれていた。

「いっとくが俺はこの中でプロポーズはしないからな!」

「えっ?プロポーズは先生の家できいてますよ?」

「あれは!してるけどまだだ!
指輪…まだだろ…」

 そっと手を繋いできた先生は少し照れて赤くなっていた。

「じゃあ、指輪は仮眠室でお願いします!」


「 いやだっていっただろ!」

「じゃあ、結婚しません」

「……」

不貞腐れた先生が可愛くて繋がれた手をぎゅっとにぎる。

「いつか先生のお嫁さんにしてくださいね。」

「頼まれなくても俺の嫁だ。
楽しみに待っとけ」


たぶんそれも遠くない未来だろう。
仮眠室の神様、私のお願い叶えてくれてありがとう。

仮眠室の伝説がまたひとつ増えて、翌日私は師長にばれて怒られ、服部先生は知らんぷりして笑っていた。