「焦らないでゆっくり行きましょう。思い出せなくても、新しい記憶は作れますよ。もう一度恋人になれたところから経験するなんて幸せじゃない?
だって宮前先生はあんなに素敵なんだから」
そう言って微笑む高橋さんの笑顔は、不安な気持ちを安心させてくれる素敵な看護師さんだ。

「おい」
ふいに病室に響いた低い声に二人で入り口に顔を向けると、腕を組んで不機嫌な主治医服部先生がたっていた。

「お前はまた他の男のことをでれでれと…」

「ちっ違います!患者さんの前でやめてください!」

あわあわしてムッとしながらも赤くなる高橋さんが可愛いくて見ていて思わず吹き出した。

「あははっ高橋さん可愛いすぎ。
っていうか服部先生、ヤキモチやきですね」

「当たり前だ。
こいつはあちこちでムダにへらへらしてるからな。
心配で仕方ない。」
高橋さんの顔がさらに赤く染まる。