「服部先生、なくした記憶はもう戻りませんか…」

目覚めたことに喜んだものの、彼女が口にした言葉がいまだに信じられなかった。

服部先生の説明にすーっと血の気が引いていく。

「ある日突然戻る場合もあるがそのまま戻らないかもしれない。
リハビリとしては、根気強く関連性のある物や写真をみせたり、その人物と接触すること。」

服部先生は医師としてそこまで説明するとふぅーと大きく息をはいた。