どれくらいその場で泣いていたろうか。

自宅に戻るとドアの前に人影がありドキリとしたがそこに立っていたのは兄だった。

「恵……」


抱きついて泣き崩れる私を兄は黙って背中をさすった。


そんな私たちの姿を奥歯をギリッと噛みしめて見つめる人影があったことなんて私たちはきがつかなかった。

私たちが二人で部屋に入るのをただ悔しそうに怒りのこもった瞳が睨み付けていた。