「まだ、時間は大丈夫?
このお金使わせてもらうよ?
映画でもみよう。」

やっぱり次はないんだな…。

うなずく私を乗せた車は、近くのショッピングモールの映画館に向かった。

「何が見たい?」

上映スケジュールの看板の前で先生が聞いてきた。

「あの…同時に見たいもの指差しませんか?それで違うもの指差してたらジャンケン!」

先生がふっと笑う。

今日何度目の私を虜にする笑顔だろう。

「ジャンケンって子供かよ。
いいよ。
悪いけど俺強いからなジャンケン」

そう言いながら二人で指差した先は、同じ映画だった。