車で行って観光するらしいこと。新幹線で何時間も揺られ、大阪に行くこと。大阪なんて都会、私は興味なんてなく過ごしていた。興味でたくさんになってしまった。逢いに行くことまで、考えた。

連絡先も、新しい住所も、知らない私が。

逢えるわけないのに、夢を見ることだけは欠かさなくて。



あの日。見送ったあの日、制服以外には履かないスカートを身にまとっていた。今日は、制服を着てここにいる。これから学校に行くから。見つけてもらおうと足掻くから。

たった1週間前に彼は行ってしまった。だから、彼にいま見つけてもらうなんて……彼が帰ってくるわけでもないのに。

はあとため息をついて、彼の存在を頭の中から揉み消した。



高校へと足を進める。