毎日ふたりでいると、さすがに話すことがなくなってくる。


相変わらず朝が来て夜が来て、ぼそぼそしたご飯を食べて寝て、朝が来る毎日。カレンダーは一応追っているけど、特に行事もないしやることがない。

だから話すこともあんまりない。


適当なアンケートはすぐに話題が尽きた。


「どうする、高橋さんは絵でも描きに行く?」

「うん、そうしようかな」


わたしはもともと美術部だった。


油絵を描くのが好きで、小さなコンクールで入賞するようなささやかな活動だったけど、絵を描くのは楽しくて好きだ。


もう趣味や文化や芸術を楽しむ余裕なんてなくなったから、絵の具はすっかり価格が下落している。


でも、うちの学校はマメな先生のおかげで絵の具がたくさん保管してあった。

もうわたしたちしかいないし、何かと物々交換するつもりはないし、先生方とも話し合って、使いたいわたしが好きに使わせてもらっている。