終わる世界で、きみと恋の埋葬

「じゃあ今度、教室に鍵かけて泊まろう。三日月がきれいだから」

「泊まる泊まる!」

「じゃあ明日な」

「うん」


なるべく明るく頷く。


……多分、夜ひとりきりになるのを危ぶんでくれていることには、気がつかないふりをして。


帰り道、梅が、しんと冷えた雪の名残みたいに真っ白に咲いていた。


じゃあまた明日、と玄関先で別れてしっかり戸締りをしていると、ふいに耳元でごぽりと水音がした。


プールで泳いだわけでもなく、顔を洗ったわけでもない。汗はかいていなかった。


無意識に震える指でスマホを探そうとして——ハッとして、何も持たずに家を飛び出した。


もしかしたらまだ近くにいるかもしれないあすかくんの姿は探さないように、こわばる顔を必死に正面に固定する。


走る。走る。


……お別れの準備なんて全然全然できていないけれど、声を聞かないとだけは決めたのだ。連絡はしない。


あすかくんに、あの絵と名前の他に何も残していきたくなかった。