聖は一つに束ねられた髪を引っ張った。


「え、あ、ありがとう……」


私が変な態度をとったせいか、聖は不思議そうな顔をしている。


理由を聞かれると思ったそのとき、練習再開の呼びかけをされた。
私は助かったけど、聖は不満そうにして自分の場所に戻った。





それから一週間が過ぎた。
毎日のように応援練習してきたから、最初ころよりできるようになってきた。


そして初日のこともあったから、あの日以来髪を結ぶようにした。


だけど、体育祭本番の今日は二つにまとめてみた。
沙奈ちゃんとお揃いの髪型。


「これで頭の上でリボンとか出来たらいいのに」


テントの下で開会式が始まるのを待っていたら、沙奈ちゃんがそうこぼした。


普通に結ぶことも出来ない私がそういうことを自分で出来るはずないから、沙奈ちゃんの願望に同調しなかった。


すると、アナウンスが流れた。
開会式が始まる。


その中の生徒会長挨拶。


「先生の許可を貰いましたので、今年ははちまきの巻き方は自由です!」


その瞬間、生徒が一気に盛りあがった。
生徒が楽しめることを実現できる生徒会長が好かれるのもわかる。


開会式が終わってテントに戻ると、みんな一斉にはちまきの結び方を変え始める。
ネクタイのようにしてみたり、二つの角のようなものを作って猫耳のようにしてみたり。


特に女子のほうは工夫されてる。