「来年は文化祭だから、我慢しよう?」
「でも再来年はまた体育祭じゃん。あーあ、ついてない!」


ここの学校は文化祭と体育祭を交互に行う。


沙奈ちゃんのついていないっていうのは、一年のときに文化祭だったら、二回文化祭だからということだからだと思うんだけど……


「楽しい体育祭にしようと思ってんだけど、それでも嫌?」


私たちの後ろにいた聖が笑顔で言った。
沙奈ちゃんは腕組みをして顔を顰めている。


「嫌だね。日焼けするし、暑いし」


やっぱり暑いのが嫌なんだね。


女子のほとんどが日焼けは嫌がるだろうし、そういう意味では楽しみにしてない人は多いかもしれない。


「んー……どうしたら楽しみになる?あ、体育祭のプログラムを減らすはなしだからな」


聖は沙奈ちゃんが言うであろうことを先に言ったから、沙奈ちゃんは考え込んでしまった。


「……あ。借り物競争。もしくはコスプレしたい」
「借り物ならあるけど」
「じゃあ……」


沙奈ちゃんは聖に耳打ちをした。
聖は沙奈ちゃんの顔を凝視し、沙奈ちゃんは楽しそうに笑っている。


「……冗談だろ」
「やだな。チャンスって言ってよ。もしかして借り物競争出ない?」
「出るけど……」


また二人の世界。
私だけ置いてけぼり。


「ひなた」


すると、聖に呼ばれた。


「ん?」


振り向いた瞬間、聖に両手で頬を挟まれた。


「やきもち?」
「……だって、聖のほうが沙奈ちゃんと仲がいいんだもん」