「んん?それは褒めてくれてるのかな?ていうか、敬語やめて?同い年だよね。あと、呼び捨てで大丈夫」
「もちろん、褒めてる」


夏希に言われてさっそく、沙奈ちゃんは敬語をやめた。
視界の端で聖が最悪だと言わんばかりに頭を抱えている。


さっき二人の組み合わせは嫌だと言っていたから、まあ当然の反応かな。


「やばい、沙奈とは気が合いそう」
「私も思った。今度遊ぼうよ」
「聖で?」
「いいね、それ」


……私を挟んでそんな会話しないでください。
聖は聖で、もう耳に入れないようにしてるみたいだけど。


「そうだ、沙奈は三人の中で誰推し?」
「私は初恋君を知らないからなあ。矢野かなあ」
「本当?私もなの!」
「ちょっと待った!」


間にいて、二人の会話に違和感を覚えた。
夏希の言う三人っていうのはたぶん、天形、聖、あとは……近江君なのかな。


夏希の嬉しそうな顔、いつものセリフから推測すると、私と誰をカップルにしたいかっていうことだと思う。


「なに?ひなた。うちの兄はお嫌い?」
「悪い奴ではないよ?ちょっとバカだけど」


会ってすぐなのに、なんでこんなに息があってるの……


「そうじゃなくて!他人に恋愛関係をとやかく言われるのは好きじゃないの。できれば、そっとしておいてほしい」


私がそう言うと、二人はからかうのをやめてくれた。