ただずっと、君が好き

「……食べてみる?」


すると、近江君はスプーンで一口分のアイスをすくい、私のほうに向けてきた。
私はわかりやすく戸惑ってしまう。


そんな私を見て、近江君はくすっと笑った。


「冗談だよ。からかってごめんね」


近江君は私に向けた分を、自分で食べた。


「びっくりしたー……冗談でも近江君みたいなイケメンさんにやられると、照れるね……」


緊張感から解放されたはずなのに、顔は熱いままだった。


アイスを食べて冷やそうとするけど、目の前に座る近江君を見るたびに思い出してしまって、なかなか温度は下がらない。


「手慣れてるね、近江」
「人気者は違うなあ」


横で見ていた沙奈ちゃんと聖がからかうように言った。
すると、近江君は顔を赤らめた。


「え、なに?もしかして私たちのこと、忘れてた?」


沙奈ちゃんの言葉を無視して、近江君は黙ってアイスを食べ続ける。


「そっかそっか、近江はもともとひなたと二人で寄り道しようとしてたもんね?ごめんねー?邪魔しちゃって」


言ってることと顔が一致してない。
本当にからかうのが好きなんだな、なんて考えながら口内をリンゴ味で満たす。


「そういえば、矢野の妹さん。ひなたに家族になる……とかなんとか言ってなかった?」