ただずっと、君が好き

夏希はなにかスイッチが入ったように、笑顔を作った。
私たちは案内されたほうに向かう。


それぞれ注文をすると、一番にアイスを受け取った聖が窓際の四人掛けの席を取った。


「ひなた、なんでアイツ連れてきたの」


夏希からアイスを受け取ろうとしたとき、夏希がぼそっと言った。
これはたぶん、聖が嫌いだとかそういうことではなくて、家族がバイト先に来て恥ずかしいってことだと思う。


「んー……流れ?」


話せば長くなると思って、そう言うしかなかった。
夏希は頬を膨らませながら、アイスを渡してくれた。


私はそれを持って、三人が座る席に向かった。


「矢野の妹さん、めちゃくちゃ矢野に似てるね。あのはっきりした感じ、結構好きかも」
「夏希と有川とか、最悪な組み合わせでしかないんだけど」


そんな会話をしながら、聖と沙奈ちゃんはアイスを口に運んでいた。
私は空いていた沙奈ちゃんの隣に座る。


「ひなたちゃん、何味にしたの?」


二人が言い合いをしている間、黙ってアイスを食べ進めていた近江君が、そっと聞いてきた。


「リンゴ味だよ。近江君は?」
「ミルク」
「ミルクかあ。食べたことない味だな」


いつもリンゴ味を頼んでいるから、食べたことないってだけなんだけどね。