ただずっと、君が好き

「つまりー!イケメンは失格!ざまあ!」


……こら。


さらに笑いが起こっているから、心の中で突っ込んでおこう。


私は近江君を見る。
近江君は小さく口を動かした。


ごめんね。


あってるかわからないけど、私はそう言ってるように思った。


そして借り物競争は終わり、選手が退場門から出てくる。


選手じゃなかった私は先にテントに戻っていたから、近江君を探しに退場門に向かう。


「近江君!」


呼び止めると、近江君はまた申しわけなさそうに笑った。


「ひなたちゃん。さっきはごめんね、僕が勘違いしたせいで」
「ううん。あの書き方だと勘違いもしちゃうよ」


声をかけたのはいいけど、話すこと考えてなかったから、お互いに無言になってしまった。


「えっと……なに?」


何を話そうか考えていたら、近江君がじっと私の顔を見ていた。


「ひなたちゃんはほかの女子と違うんだね」


綺麗な顔が近付いてくるから、緊張して身動きが取れなくなる。


ゆっくりと近江君の手が上がり、私の頬に触れそうになる。
私はつい、目を閉じた。


「ひなたちゃんは一途だから」


すると後ろから抱きつかれ、近江君と距離ができた。
沙奈ちゃんだ。


「一途?」
「初恋相手をずっと想ってるの。だから、エセ王子には騙されない」


間違ってないけど、そんなはっきり言わなくても。
近江君も戸惑ってるみたいだし……


「矢野君と付き合ってるんじゃないの?」
「聖は幼なじみだよ?」