ただずっと、君が好き

私が動揺しているうちに、ほとんどの人がゴールしたと聞こえてきた。


「行こう、ひなたちゃん」


近江君はそう言って、私の手を握った。
その瞬間、女子の悲鳴のような声が聞こえてくる。


……これは考えてなかった。
ただただ、近江君を助けることしか頭になかった。


でもまあ、変な噂がたっても誤解だって言えば大丈夫だよね。


そして私は近江君に引っ張られて、ゴールした。


「さあさあさあ!ビリのイケメン人気者は何を引いたのでしょう!」


……進行役の人、盛り上げ方間違ってませんか。


近江君は嫌そうな顔をしながら、紙を渡す。


「これは!今回のメインと言ってもいい!はちまき交換の相手だ!」


盛り上がる男子、悲鳴をあげる女子。


……って、待って。
近江君が教えてくれたニュアンスとなんか違うような。


「人気者の近江君は彼女とはちまき交換を?」


近江君にマイクが向けられる。


「ごめんなさい、僕、間違えたみたいです」


近江君は照れ笑いを見せる。


「と言いますと?」
「僕は、誰かとはちまき交換してる人を連れてくるものだと思ってしまって……僕と交換してる人を連れてこないといけなかったんですね」


その瞬間、会場は笑いに包まれた。