ただずっと、君が好き

篠田さんの言う彼氏は、聖のことだろう。
近江君が言っていた、天形に会いに行ったというのは、嘘じゃなかったらしい。


多分だけど、天形から連絡をもらったということがバレて、関わらないようにしてほしいと頼みに来た……なんて、考えすぎかな。


「彼氏が彼女のことで話があるって会うのは、彼女の元彼か彼女を奪われる恐れがある相手しかいない」


篠田さんの推測が思いのほか的確で、自分の経験不足を突きつけられているような感覚になる。


「アキラは彼女はいないって言った。だったら、アキラがあなたを奪おうとしているってことになる」


それは飛躍しすぎだと思う。
天形に彼女がいないからといって、その結論に結びつけるのには無理がある。


というか、今彼女がいないのであって、過去にいないとは言ってないんじゃないかな。


いや、私がそうであってほしいだけなんだけども。
もし過去にもいないって意味だったら、私の存在が消されたことになるし。


「あなたには彼氏がいるじゃん……アキラ、私にちょうだい……」


篠田さんは今にでも泣き出しそうだ。
だけど、ここで引き下がっていては昔と同じだ。


聖も近江君も傷つけて、ここまで来た。
逃げたら、絶対ダメだ。


私は意味もなく立ち上がる。


「……あの日天形に会いに来たのは私の彼氏じゃない。私も……天形が好きだから、渡せない」


聖とのことをなかったことにはしたつもりはない。
ただ、そう言わないと、聖を彼氏だと思ってる篠田さんに、渡せないと宣戦布告することはできないと思った。


すると、盛り上がる野次馬の声がやっと聞こえた。
まったく周りが見えていなかった。