ただずっと、君が好き

みんな何を引いたのかすごく気になるから、みんなが走る背中を見つけられる限り目で追った。


「……ねえ、ひなたさん?エセ王子……こっち来てない?」


沙奈ちゃんは顔を顰めていた。


近江君は紙を持って、真っ直ぐこっちに歩いてくる。


「来てるね。でも、きっと私たちには関係……」
「ねえ」


私の声を遮るように、声をかけられた。
声がしたほうを見ると、そこには優しい笑顔を浮かべた近江君が立っている。


「僕と来てくれない?」
「え、私?」


まさか私に声をかけられるなんて思ってなくて、自分で自分を指さして確認する。


「うん。……ダメかな?」


お題に書かれてる人かなにかが、私ってことなのかな?
近江君、困ってるように見えるし……


「ひなた!」


どうしようか迷っていたら、聖も私のところに来た。


「俺と走って!」


……さあ困った。


「ごめんね、矢野君。僕のほうが先に彼女に声をかけたんだ。ほかを当ってくれないかな」
「ん……そうか。じゃあ、有川」
「はあ!?なんで!」


沙奈ちゃんはここに近江君がいることもあってか、相当苛立っているみたい。


「仲のいい女子なんてそうそういないからさ。頼むよ」


なるほど、だから聖は私のところに来たんだね。


「余計に嫌!変に注目されるじゃん」


確かに、この体育祭の雰囲気を利用して恋愛関係に持ち込んだりしそう……