スマホはおろか、携帯電話すら持っていない私たちは、ここではぐれたらオシマイ。 だから、必死で純の背中を追いかけた。 人混みで見失わないように。 純も私の気配がわかるくらいの距離を保って、ゆっくりと歩いてくれていた。 それはたぶん、ほんの2、3分。 だけどものすごく長い時間のように感じた。 ここに入る? と純が立ち止まって目くばせしてくれたときは本当にホっとしたんだ。