19時、海風が頬を撫ぜる丘でさよならを。

仕方なく私もピアスを探し始める。

せっかく覚悟して飛び込もうとした時に、なんでこんなことに…


「南中って、生徒多いよな。前に文化祭行ったらすっげ盛り上がってて、羨ましかった」
「私、今年の4月に転校してきたからわかりません」
「だから敬語禁止だってば。てか転校生なんだ、すっげ、俺はじめて見た」
「何を?」
「転校生。やっぱドラマとかみたいに黒板に名前書いたりすんの?」
「…先生が書きま、書いたけど」
「おお~!やっぱ黒板に名前ってやるんだな!すっげぇ!どこから来た?」


探す気があるのかないのか、来栖純と名乗った男子は「転校生」のワードに反応して目を輝かせている。

そんなイイものじゃないのに。