19時、海風が頬を撫ぜる丘でさよならを。

それは確信じゃないけど、なぜか純なら大丈夫って思えた。

だけど言葉を口にするのには勇気が必要で、最初の音は上手く出なかった。


「…人科医」
「ん?」
「産婦人科医。恥ずかしいでしょ」
「なんで?すっげぇよ!カッコイイ!ドラマみてえだな!お医者さんかぁ、ちっとも恥ずかしくないだろ」


純は、言葉を被せるように否定してくれた。

嘘で言ってるんじゃなくて、本当に目がきらきらして、それが本心だってわかる。

それでも素直に喜べなくて。


「え?だって、産婦人科だよ、患者さん女の人ばっかりで、その…体、見たり…」
「そんなの、病院なんだから体くらい見るだろ普通」
「でも、私いつも転校するたびにそのこと言われて、いやらしいとか。だからもう辛くて、恥ずかしくて…」