「私は明智光秀の家臣の斎藤利三の娘として生まれました。本能寺の変で明智が謀反人となり、父も亡くなり、母の実家の稲葉家に引き取られたり、親戚の公家・三条西家に引き取られ養育されました。」
「そうだったんだ。大変だったね。」
「苦労したんだね。」
ミヤビさんが春日様の頭をポンポンとしました。
春日様は笑みを浮かべ頷きました。
「稲葉正成と結婚して3人の息子を生みましたが、離婚して家康様のお孫様である家光様の乳母になりました。」
「だから明智、徳川派なんだー。」
「そうよ。3代将軍を私が育てたの。」
「え!?将軍を育てるとかすっごーい!!」
「さすが春日ちゃん!」
「でもなんで実の母親が育てないの?死んじゃった?」
「カイルさん、武家はそうゆもんっすよ。」
「え?そうなの?」
「情が移りすぎ、甘やかしすぎるのを防ぐためです。」
「へー。そうなんだ!覚えとくね。」
「家光様は私を頼ってくれてとってもかわいい我が子同然のお方なのですが、弟の忠長様より劣っているとか体が弱いとかで次期将軍は忠長様のほうがいいのではないかと噂されるようになったのです!」
「ひどい!」
「超最低じゃん!」
「これも悪縁のせいかもしれません。」
「ん?悪縁?」
「誰と?」
「家光様の母である江《ごう》様は織田信長の姪。私は明智光秀の家臣の娘。」
「敵《かたき》同士だ!」
なんか今日のミヤビさん冴えてる。
「怖っ!じゃあ江ちゃんと仲良く・・」
「ないわ!!私は家光様溺愛。江様は忠長様を溺愛しておりました。絶対家光様を将軍にするために家康様に直訴しに行ったりもしました。」
「おー!すっげー!」
「さすがー!あ、お酒きたよ。どうぞ。」
「ありがとう。」
「乾杯しよ!春日ちゃんの謀反に乾杯!」
「え?謀反!?」
「乾杯!おいしい!謀反最高!あはははっ!」
春日様もう酔った!?って思ったのですがすぐに元にもどりました。