ふわり……――

春の雪が舞い降りる。

「桜の木……」
「桜華さん、どうしたんですか?」
「いや、なんでもない」

桜の木……。
なんなんだろう、引っ掛かるものがある。
なぜこの言葉が引っ掛かるのだろう。

『……さま、僕の身分がもっと高ければ、……さまを幸せにできたかもしれぬのに』
『……わらは身分など関係ないぞ、あんたと一緒にいたいんだ』

この会話は、なんなんだろう。
思い出せないけれど、懐かしい。