「……かさ……さん……桜華さん!!」
「……っ……」

突然視界が明るくなった。
何故だろうか。

その答えはすぐに分かった。
瞼が開いたからだ。

「あれ? あたし……」
「深い闇に落ちていたんです」
「深い闇……?」

深い闇とは何のことだろう。
さっぱりわからない。

「たぶん、あれは安土桃山時代の怨霊でしょう。
 猿楽とかやっていた人だと思います」
「怨霊……」

怨みを持った霊ということだろうか。
霊に怨みを持たれるようなことをあたしはしたのだろうか。
わからない。

「でも、大丈夫です。
 僕があの霊を封印したので……」

封印されたのか。
ということは、もう襲われることはないのか。
そう思うと肩の荷が下りたかのようにほっとした。