「そんなウソすぐにばれるに決まっているじゃない」
あたしはそっと、駿に行った。
でもその声は震え震えだった。
「桜華さんは知っているんじゃないんでしょうか?
あなたの霊力を抑えるために、桜華さんのお父さんは霊力を使い果たしたことを……。
そして、お父さんが亡くなられた今、その霊力は切れてしまい、あなたの霊力は復活していることも……。
ご存じなのではないでしょうか?」
「……っ……」
本当は知っていた。
お父さんが霊能力者だったことぐらい。
そのことにあたしが気づいているのに、お父さんは気づいていないことも知っていた。
だけど、それを否定したかった。
あたしは普通の人間でいたかったからだ。
でも、もうこれからは普通の人間として生きていけないのだろう。


