「ごめん瑠花ちゃん! スマホの充電ケーブル貸してくれない?」

「あっ、いいよ。えっと、たしか……鞄に入れっぱなしだから、勝手に取って使って?」

「わかった! ありがとう~」



美月ちゃんは明るくお礼を言って戻っていった。

せっかくだからこのまま顔を洗おうと、洗顔フォームに手を伸ばすと。



「ねえ、瑠花ちゃーん」

奥のほうから、ふたたび美月ちゃんの声。


「鞄の中に何かあるよ?……シルバーのチェーン……ネックレスかな? 瑠花ちゃんこんなの持ってたっけ?」


シルバーのチェーン、ネックレス。

心臓が激しく脈を打った。

花の形が──目の前で、ゆらゆら揺れていた記憶がある。


恥ずかしくて目を合わせることができなくて、代わりに、首元で光るものを見つめていた。