「違うよ。すごく可愛いんだろうなあ、その子」


笑顔を作って、悟られないようにする。



とうとう、街の出口まで来た。

「ごめんね、俺が送ってあげれるのはここまで。気をつけて帰ってね」


私たちが暗黒街に近づいてはいけないと言われているように、この街の人も、あんまり外に出ないようにって響平が言ってたっけ。


「ありがとう、泉くん」

「どういたしまして。じゃあまたね、瑠花ちゃん」

「……うん」



きっと“次”なんてないけど、頷いた。


ここを出るまでは、“響平の彼女”。


ぎゅっと拳を握って、1歩踏み出す。


それはまるで、シンデレラの魔法が解ける瞬間みたい。


寂しい気持ちを涙といっしょに押し殺して、

響平のいた街をあとにした。