響平が人差し指をくわえさせた。

「んぅ、」



痛みが甘い痺れに変わると、自然と涙がこぼれた。

この人が好きだと思ってしまう。



「……瑠花…っ…」

かすれた声が、どこか切なく私の名前を呼ぶから錯覚してしまう。


ずっと離さないでほしいと思うし、離れたくないと思う。


たまらなくなって目をそらした。

横向きに体勢を変えて、開かれたカーテンのほうを眺めた。


さっきここから街を見下ろしていたときは、灯りが綺麗に映っていたけど。空を見上げれば、恐ろしいくらいに深い漆黒だった。


ここは、この場所で一番高い建物の最上階。

下に広がるビルたちはあんなに輝いてるのに……。