「何、立てね―の?」

「へ? っあ、いや……」

「ここに来んのは初めてって感じだな。しかも制服とか。さすがに危ねぇわ」



そう言いながらも特に心配してくれている様子はなくて、ひとり言にも聞こえた。



「泉が――あの銀髪があいつらの相手してっから、今のうちに逃げな。襲われかけてたんだろ?」



単調に再びそう告げられて
そうだ、逃げなきゃ……と、ようやく頭が働いた。



でも、いざ立ち上がろうとすると、足にうまく力が入らない。

動けない私の隣に、相手がゆっくりかがみこむ。



「逃げねーの?」

「っ、」


「あー。もしかして、犯されたくてこの街に来たとか? たまにいるいる、そういうやつ」

「ち、違くて……!」



張りついた喉からうわずった声が出た。



「その……足に力が、入らないんです」