面倒くさそうなため息が一つ落とされたかと思えば、再び大きな手のひらが伸びてきた。


「どうでもいいやつなら、こんなキスとかせずにとっくに無理やり襲ってるだろ」


ほんとなの……?

これは演技じゃないの?



響平はいつまで経っても女の子に慣れた響平のままで、私は響平以外の人を知らない私なんだよ。


初めから埋まらない距離がある。
追いかけても虚しいだけ。


私がこう思ってることを響平が知らなければ、
何も始まらなくて済むのに……この人は。



「瑠花」

勝手にこじ開けようとしてくる……。



「顔上げろ。どんな表情してんのか見えねぇと、なんか嫌だ」


口元を持ち上げられて、無理やり上を向かせられた。