「だったら呪いかけてやる」

「……呪い?」

「俺のこと、忘れられなくなるように」



“呪い”という言葉が、どうしてか甘く響く。


唇が重なる。

響平が一方的に、ひたすらキスを落としてくるだけ。距離の詰め方は強引なのに、触れ方は驚くほど優しい。



このまじゃ堕ちてしまう。


……ううん。
もう、とっくに──。



「瑠花」

「……っ、ん」



もう何度目か分からないキスを受け入れると、頭の中がジン……と痺れた。

クラクラする。


熱に侵されて、気を抜けばこのまま倒れてしまいそう。

響平の唇には麻薬でも塗ってあるんじゃないかと、そんな馬鹿げた考えまで浮かんでくる。